2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「魔法少女風味ミリンちゃんは仕事を考える」

酷いっすよ先輩。なんで、今までミリンちゃんが妹だって黙っていたんすか。それならそうと言ってくれれば良かったのに。俺がどれだけミリンちゃんを応援してるか、先輩も知っているでしょう。いや、まぁ、確かに知っていると言えば知っているが、最近になっ…

「魔法少女風味ミリンちゃんは世話焼きだ」

能美健太さん、芸能界で生きていくのは大変でしょうけど、是非頑張って名を上げてくださいなのです。そうなのです、ここで出会ったのも何かの縁なのです、私の名刺をお渡ししておきますね。そう言って、ミリンちゃんは手提げの鞄の中からメタルピンクの名刺…

今週のお題 子供の頃の夢

そこそこまともな会社に入って、後ろ指差して笑ってた奴らよりマシな人生を送るって、そんなのですかね。 いじめられっこってほどでもなく、けれども周りから一目置かれることもなく、変な奴扱いされてる感じの子だったので。 今もですけど。

「B太の下心」

まずい、なんてことだろうか。よりにもよって、最も合わせちゃいけない二人が出会ってしまった。身内の俺がこんなことを言うのもなんだが、芸能界でそんなに知られていない、どマイナーアイドル魔法少女風味ミリンちゃんを、なぜか過剰にB太はリスペクトし…

「魔法少女風味、元モヒカンと出会う」

店にも電話入れたら、全然知らない人が出るし。店長はどうしたんだって聞いたら、今、病院に入院中だって。それで、俺が出てったあの後、店に強盗が入ったのを知って。俺、まだ皆にちゃんとお別れも言ってないのに、どうして良いかわからなくて。俺、夢を追…

「B太の落涙」

誰だよお前。いや、謎の大型新人アーティスト能美健太というのは知っているけれど、お前みたいな後輩は俺には居ないぞ。と、言い切ってから、俺は能美健太という名前が、B太の本名だというのを思い出した。頭の中でB太と勝手にあだ名をつけて呼んで居る俺…

「能美健太の襲来」

昼を過ぎてもミリンちゃんはやってこなかった。俺は看護婦がリアカーで引いて運んできた、味付けが薄くなんとも食欲の起こらない昼飯を食べ、味噌舐め星人は買い置きしてあった味噌スープを飲んだ。幾ら病院食が不味いといっても、なんとか食べれないレベル…

「味噌舐め星人の世話」

空になった食器を看護婦さんが回収に来る。それからしばらくして、回診の先生が俺の部屋にやってきた。先生は俺の足の包帯を解き、一度アルコールで消毒した傷口に赤チンを塗りたくりながら、少しは良くなったね、それでも、あとしばらくは車椅子で安静にし…

「味噌舐め星人の奇計」

朝は俺が思ったよりも遅く現れた。目を覚ましたのは朝の九時。店長も目覚めた事で安心したのか、どうやらいつもの自堕落な調子が戻ってきたらしい。おかげでテーブルの横に置かれた不味い飯が、更に冷え切って不味くなりとても食えたものではなかった。いっ…

今週のお題 好きなお鍋

キムチ鍋で良いんじゃないですか。どうでもいいだろ、そんなの。 温かい料理が食べれる時間に帰れる人は良いですね。死ねよグズども!! ※研究室で使えない使えない連呼されて、実際最近は2nnとかGIGAZINEとか見てて仕事疎か、能率も下がっててここは一つび…

「魔法少女風味ミリンちゃんのお兄ちゃんは漫画を読む」

醤油呑み星人に押されてコンビニの横を通り、エレベータの前に出る、最上階まで上りきっているエレベータを、上へのボタンを押して呼ぶと、また車椅子を揺らして中に入る。特に寄り道をしたい場所も思いつかなかったので病室のある階数が印字されたボタンを…

「醤油呑み星人の心配」

自分でも自分の薄情さに笑うしかなかったし、自分でも自分の愚かさに情けなくなった。絶望の中にまだその半身を浸けている彼女に、いったい俺はどんな言葉をかけてやれるというのだろう。俺には何もできない。また、無力感が俺の体を打ちのめしていた。それ…

「醤油呑み星人の憂鬱」

政治家の汚職、アイドルのホテル帰り、熟女のグラビアに、泌尿器系の病院の広告。コンビニの棚に並んでいる雑誌をいくつか手に取ったが、どの見出しも俺の興味を引くようなものはなかった。普段からそんな雑誌を読まない人間が、入院したからって読み始める…

「醤油呑み星人の悪夢」

俺が店長を見舞いに来たがはずが、気づけば醤油呑み星人ばかりが話していた。見たくもないのに延々と彼らの愛のやり取りを見せ付けられた俺は、面会の終了時間が終わるころにはすっかりと嫌な気分に毒されていた。目覚めてめでたいのは分かるが、俺は別にあ…

「店長との対話」

若い看護婦が集中治療室の扉を開けた、中に控えていた看護婦に理由を話すと、更にもう一つ中に構えられていた扉を開く。さぁ、どうぞ、と、二人の看護婦が口を揃えて言ったのを聞き終えると、醤油呑み星人はゆっくりとした動きで、俺が乗っている車椅子を押…

「店長の見舞い」

俺は飛び起きるようにして上半身を上げた。本当か、と、味噌舐め星人が寝ているのも忘れて、俺は大きな声で叫んでいた。醤油呑み星人は小さく頷いて、えぇ、本当よと涙目に言葉を漏らす。良かった、本当に良かったと、一人がちに呟く俺の背中に手を回すと、…

今週のお題 趣味

下にずらりと並んでいる記事を見ていただければ分かるように、小説デス。 四百字詰めで10ページほど毎日書いてる。そして、読者や感想がつかなくて、毎日凹んでる。 器用な話は書けないし、文章も小学生レベルなので、せめて安定して毎日量を書けるようにな…

「店長の目覚め」

俺がまずい夕飯を食べ終えて一息ついても、看護婦さんが数人がかりで簡易ベッドを病室に運び入れても、味噌舐め星人はいっこうに起き上がる気配はなかった。簡易ベッドを俺が眠るベッドの隣に横付けすると、体格の良い看護婦さんが味噌舐め星人を抱えてそこ…

「味噌舐め星人の保護」

と、親父に出会ったところで俺はふと目が覚めた。余程あの顔に拒否感があるのだろう。もう少し長い時間、あの辛気臭い面をした男を夢に見ていれば、きっと魘されていたんじゃないだろうか。きっと魘されていた。 窓から見える外の景色はすっかりと暗く、薄い…

「夕焼けの日々」

俺と少女は濃厚になるオレンジ色の太陽光を浴びて、その古めかしい町並みの中を我が家に向かって歩いていた。何もかもが死に絶えたように活気のない景色が延々と続いていく。退屈に夢の中であくびがでそうだ。おそらく実際は、もう少し人や野良猫といった生…

「夕闇の夢」

看護婦が帰っても味噌舐め星人が起きる気配はなかった。ゴネ得を狙ってケーキケーキと、看護婦が帰り次第煩く言ってくるかと思ったのだが、どうやら眠気の方が勝ってしまったらしい。足元で眠っている彼女の姿を、俺はここ数日嫌と言うほど見てきたが、こう…

「味噌舐め星人の診方」

ケーキか。良いかもしれないな。俺が何気なく呟くと、目をこれでもかと見開き、そして輝かせた味噌舐め星人が振り返った。そうです、良いかもしれませんよ。お兄さん、この白いお味噌のお料理を買いましょう。すぐに買いに行きましょう。ここの病院にある売…

「味噌舐め星人とケーキ」

昼になって看護婦がまたまずそうな食事を運んできたが、城でおでんを食べてきた俺には、三菜一汁で量ばかりやたら多いそれはちょっと食べれそうになかった。味噌舐め星人はどうかと俺は暗に目配せをしたが、彼女は先ほどの一件にまだ腹を立てているらしく、…

今週のお題 ごはんの友

ごはんはおか……エフッエフッ!! 果たして、このネタが幾つのブログで使われたことやら。 ごはんの友か。言われると難しいなぁ。 納豆とか梅干なんてのが鉄板っぽい感じはするけど、残念ながら家は偶にしか出ないし。 塩昆布も常備って程常備してないし、ふ…

「味噌舐め星人の嫉妬」

その後、俺と味噌舐め星人はぐるりと城の中を一周して病院に帰る事にした。なにかと段差の多い城の中で何度か車椅子はこけそうになったが、俺の早めの注意と味噌舐め星人の悪運でなんとか横転するような事態になる事はなかった。一周を終えた帰り際、おでん…

「城とおでんと俺と妹と」

驚いたのが俺の財布が味噌舐め星人のズボンから出てきたことだ。俺が病院で寝込んでいる間、どうやって飲み食いしていたのかと思えば、なるほど俺の財布をこいつ勝手に持ち出して、飲み食いしていたらしい。お前、思っていた程ちゃっかりしているなと、あり…

「味噌舐め星人のおでん」

食事を終えた味噌舐め星人に頼み込んで、俺たちは散歩に出かけた。味気のない病室には、息苦しい空気に満ち満ちていて、こんな所に長いこと居たならば、窒息死してしまいそうだった。けれど、看護婦たちが忙しなく行き交う廊下にも、妙な緊張感のような物が…

「味噌舐め星人の朝食事情」

味噌舐め星人が起きたのは親父が病室を去ってから一時間後の事だった。窓から差し込んでくる日の光を顔面に浴びて、彼女はくすぐったそうに瞼をひくつかせると、大きく口を開けた。猫の手で目を擦りあげて、跳ね返った髪を揺らめかせて立ち上がると、あぁ、…

「魔法少女風味ミリンちゃんのお兄ちゃんは引っ越した」

親父は何も言わずに俺を見ていた。本当にそのまま帰って行きそうな、そんな雰囲気だった。なんだよ言いたいことがあるなら早く言えよ、なんて、軽口も無駄に叩けないそんな視線を感じて、俺は、少し身震いした。親父は語る代わりにゆっくりと自分のスーツの…

「魔法少女風味ミリンちゃんのお兄ちゃんは父親が嫌い」

誰だ。扉の向こうに居るのは。そして、何故、入って来ないんだ。 ノックの音が止み、扉の揺れも止まり、俺は静かに息を飲んだ。朝日を部屋の中へと引き込んで、ゆっくりと病室の扉が開く。背の高い男の影が、扉から俺のベットへと伸びてきた。薄い頭皮がただ…