2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのじゅうはち」

父も母も居ない僕の中学生活はあっという間に過ぎて、僕は県内でも下から数えた方が早い進学高校に合格した。親が居なくても子は育つという諺を身を持て知った、そんな一年だった。詩瑠もまた僕と同じように勝手に成長して、勝手に小学校の学年を一つあげた…

今週のお題「ついつい集めてしまうもの」

漫画でしょうかね。とりあえず、これから人気出そうな奴には唾つけとく意味で買っちゃいます。 気に入ったら続刊も。で、ヒットしたら、俺は昔から読んでるよんと、まぁ、分かりやすい感じに。 とはいえ、人気出そうな奴の判断基準がぶれにぶれてるので、あ…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのじゅうなな」

次の日、観鈴は僕達より早く起きて母と一緒に東京へ行った。残された僕と父と詩瑠は彼女たちから二時間遅れて布団からはい出ると、母さんが作っておいてくれた朝食を囲んで食べた。味噌汁と玉子焼きときんぴらごぼう。冷めてはいたが流石は主婦業を十年やっ…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのじゅうろく」

それから暫くして、観鈴は小さく定期的な寝息を立てながら眠り始めた。彼女が深く寝入っているのを確認した僕は、そっとベッドから出ると、先に自分の部屋と両親の寝室の扉を開けておいてから、彼女を抱えてゆっくりと部屋から出た。しんと静まり返った二階…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのじゅうご」

観鈴はよりいっそう僕に強く抱き着いてきた。それは、自分の望む答えを言ってくれたことに喜んでいるようであり、一方で行ってくれたことに対する感謝であるようだった。この娘は、この歳にして人の喜ばせ方を知っているというのだろうか。本当に末恐ろしい…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのじゅうよん」

ティディベアの代わりに僕に抱き着いて、観鈴は目を瞑った。彼女が眠ったのを見計らって、両親の寝室に彼女を運ばなくてはいけない僕は、眠りたいのを少し我慢して、彼女の寝顔を眺めていた。流石は子役として起用されるだけあって、観鈴の寝顔はまるで天使…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのじゅうさん」

どうやら観鈴は父母の寝室に逃げ込んだらしい。はからずとも、母の言うとおりに眠ることになったのを、喜ぶべきかそれとも憐れむべきか。口では生意気な事を言いながらも、優しい観鈴の事だ。自分の発言によって、母親が予想以上に怒ったのを見て、悪い事を…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのじゅうさん」

確りと僕の手を握りしめ、観鈴は泣きそうな眼をして僕を見上げていた。遊びたい盛りの彼女が、子役の仕事で忙しく、遊ぶ暇がないのは僕も知っていたし、内心可哀想だとも思っていた。けれども、時間が時間だ。明日も観鈴は朝が早いのだろう、今から遊んでな…

ふつーでもうしわけない

今週のお題「冬の楽しみ」 なんでしょう。食べ物でしょうか。 やっぱり鍋が美味しく食べれるのが嬉しい気がします。 キムチ鍋、鴨鍋、水炊き、石狩鍋。 冬場に食べるからこそ体も温まってありがた美味しいってもんです。 あとは鯛焼きとか、大判焼きとか、お…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのじゅうに」

「ただいま。あら、お兄ちゃんまだ起きてたの」 そう言って、長く薄く茶色がかった髪を後ろに流し、ポニーテールとして結い上げている女は言った。縁なしの眼鏡に、ピンク色の口紅。目元に刻まれた小皺。黒いコートにチェック柄のロングスカートを合わせ、毛…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのじゅういち」

コロ太をちゃんと飼うと決めた日の夜、僕は早速、詩瑠には内緒で父さんに事の次第を相談した。自分で言い出したことなのだから、自分で言わせてあげた方が良いとも思ったが、どうにも、父は最近土日も忙しく会社に出ていて、夜遅くしか会う機会がない。多少…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのじゅう」

子犬の入った段ボールを前かごに載せて、後ろに詩瑠を載せて、僕は家まで自転車を漕いだ。家に着き、自転車を倉庫に入れると、とりあえず、親に内緒でコロ太を一か月買う事にした我々は、段ボールを抱えて詩瑠の部屋へと向かう。可愛らしいベッドの一角に段…

「僕の幸せな幸せな子供時代、その九」

詩瑠が犬を飼いたいと言った次の日、僕がいつも妹と待ち合わせる公園に行くと、ブランコの前に薄汚いミカン箱が置いてあった。ブランコに詩瑠の姿はない。トイレにでも行っているのだろうかと、僕はブランコの前に自転車を止めると、その明らかに怪しい箱を…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのはち」

僕はパソコンを立ち上げると、デスクトップに置いてあるhtmlフォルダを開いた。さらにその中にある、Diaryフォルダにアクセスすると、その中にあるテンプレート.htmlと5.htmlファイルをノートパッドで開いた。テンプレート.htmlフ…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのなな」

まさか父の口から大学に行けという言葉が出てくるとは思わなかった。私立大学を出ている母さんだって、進路に関して僕に大学へ行けと言う様なことは無かっただけに、工業高校出の父さんがそんな事を言うのは、僕としては本当に意外だった。そしてこの男らし…

今週のお題「自己紹介をしてみよう」

どもです。 「今期は無いなー、見るアニメがないなー、ほんとないなー」と、地獄のミサワみたいに言いながら、「お兄ちゃんのことなんかぜんぜんすきじゃないんだからねっ!!」が放送されるのを、楽しみにしている続々です。 今週のお題は自己紹介をしてみ…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのろく」

十時を過ぎたころだろうか、父さんが家に帰って来た。義務教育も終わろうという年頃の僕と違い、まだ眠気に抗いがたい年頃の詩瑠は、父が帰って来るのを待てず、すでに一人で自室へと向かって眠ってしまっていた。可愛い盛りの娘と会話できないのを嘆くよう…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのご」

「ねぇ、お兄ちゃん。ちょっと、相談があるんだけれど」 手のひら大のハンバーグを食べ終わり、ニンジンのソテーを箸でつついて転がしながら、詩瑠は小さな声で言った。何か思いつめたよな、それでいて真剣な感じのするその声に、僕はお茶碗から箸を離し詩瑠…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのよん」

詩瑠とリビングで別れ、僕は自分の部屋に戻ると、制服とカッターシャツを脱いで、体育で使っているジャージに着替えた。そして急いで詩瑠の待っているリビングへと戻る。詩瑠はソファーに俯せになり、テレビをつけて夕方の教育番組を見ていた。とりわけ、詩…

ブログもしたいし、開発もしたい

MacBook Air 11インチ欲しい!

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのさん」

もうとっくに日は暮れたというのに僕の家には明かりが灯っていない。右隣りの家も左隣も、玄関正面のアパートだって、暖かい光と賑やかな家族団欒の声に満ちているっていうのに、僕の家だけがお化け屋敷の様に、しんと静まり返っている。お父さんもお母さん…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのに」

小学生では簡単に思えたテストが中学生になると煩わしくてしかたない。これがあと三年、場合によってはもうあと四年続くのかと思うと、僕は人生という物にマゾヒズムしか感じられない。進路希望調査票と銘打たれたプリントが、最も簡単な集団作業によって教…

「僕の幸せな幸せな子供時代、そのいち」

僕はとてもとても幸せな家庭に生まれたのだと思う。とてもとてもと二回言っても足りないくらいだ。友達の家から憎まれない程度に裕福だったし、お父さんは髪が薄いけれど働き者で休日には僕と遊んでくれるし、お母さんは時々ヒスを起こすけれど普段はとても…

今週のお題 今年の抱負

抱負とか訳の分からん自分ルールを作って自分を必要以上に苦しめないことだね!!

「惨劇の終幕と喜劇の始まり」

「それが許せないのよ!! 私を置いてきぼりにして、幸せになんてならないで!! この子が居なければ幸せになれなかったの!? 私が死んでいたままだと不幸だったの!? 私が、私が死んだから貴方達は不幸なの!? 気持ちは分かるだなんて都合の良いこと言っ…

「御影詩瑠の言分」

「私は、私は、お姉ちゃんさんが、今のお姉ちゃんさんが好きなのです。白いお姉ちゃんさんの事を、私は知らないのです。知らない人なのです。だから、お姉ちゃんさんを離してください。今のお姉ちゃんさんに、どんな恨みがあるのか知らないけど、か、可哀想…

「御園詩瑠の誘惑」

カエルの鳴き声のような声を上げて、味噌舐め星人は白目を剥く。詩瑠の白く細い腕を握りしめて必死に離させようとするのだが、詩瑠の手はますます彼女の首に食い込んでいく。意識が絶えるより早く、息が止まるよりも早く、その首をへし折らんばかりの勢いだ…

「御園詩瑠の復讐」

「どうした、何をしているんだ……。お前、こんな所でこんな時間に、安静にしてなくちゃいかんだろう。入院費だって馬鹿にならんのだぞ」 「親父……。くそっ、また五月蠅いのが増えた。そんなのは、言われなくても分かってるんだよ。今はそんな事言ってる場合じ…

「母との遭遇」

詩瑠は一度俺の方を振り返って微笑んだ。それは俺が封印していた記憶の中にあった、少しの屈託もない、純真な微笑みだった。なんて良い顔をして笑うんだ。詩瑠。そんな顔をして、お前はいったい何をしようと言うんだ。 痺れる四肢にふりしぼった力を込めて、…

「御園詩瑠の真意と死の意味」

体は痛かった、死んでしまいそうな程痛かった。けれども意識ははっきりとして、目は驚くほどによく動いた。視線を下に向ける。鼻の向こうに地面に横たわる俺の腹が見える。背中から地面に落ちたのか、にしては、背中にはなんの痛みもない。いや、痛みどころ…