2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「味噌舐め星人の好物」

料理が出来上がったのはそれから一時間後の事だった。女が二人も揃っているのだから手早く出来上がると思うなかれ、雅はもちろんの事、少女もまた料理ができなかったのだ。まったく、どうして最近の女の子は、基礎的な所がてんでできていないのだから。少し…

「味噌舐め星人の懐柔」

「よかったら。家に来ませんか。この人の言うとおり、年頃の女の子が野宿するというのはやっぱり危険ですし。幸い部屋は余ってますから」 「おい、お前の家じゃねえだろう。何を勝手に仕切ってやがるんだよ」 すぐに肩を震わせて、すみません、と、雅が俺に…

「味噌舐め星人の保護」

駅で出会った少女の素性は分からなかった。本当に分からなかったのだ。それは彼女が何も語らなかったからでもなければ、俺達が彼女を連れ込んだ派出所の警官が怠惰だったからでもない。彼女の語った名前も住所も電話番号も、確かに存在するものだったし、彼…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その三十」

味噌舐め星人と俺とコロ太はとぼとぼと夕闇の中を家に向かって帰った。観鈴と一緒に帰るつもりだったのに、その意気をくじかれて、すっかりとやる気を失くした僕たちは、ほぼ無言で家までの道のりを歩いたのだった。 「お腹、空きましたね、お兄さん。何か食…

今週のお題「2011年、夏の予定」

とくにございません!! 僕と一緒に一夏のアバンチュールを過ごしてくれる素敵な女性を大募集中!! 詳細は、口頭にて説明するので、会いに来てね。。。 いやもうね、いい加減、彼女とか欲しいです。

「僕の甘味の少ない幸せな青春その二十九」

味噌舐め星人が空気を読んでくれたおかげで、ドラマの撮影は順調に進行し、順調に終了した。カットと叫ぶとこちらに駆け寄ってきた監督は、流石は観鈴ちゃんのお姉ちゃんだ、ドラマの事がよく分かってるねと、味噌舐め星人の事をべた褒めした。まるで、俺な…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その二十八」

カメラが回り始めると、観鈴の眼ががらりと変わった。家族との団欒の時間を素直に楽しんでいた彼女は、その顔の中には見当たらない。一見して無邪気にはしゃいでいながらも、それは全て彼女の演技。計算しつくされた可愛らしい物語の主人公の女の子。なんだ…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その二十七」

勘弁してくれと僕は監督に食い下がったが、彼は聞く耳を持ってくれず、昼休み終了の掛け声とともに、僕はなし崩しに俳優と一緒に撮影現場に駆り出されてしまった。普通のエキストラと違い台詞があると言っていたが、なんの連絡もされていない。これでいった…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その二十六」

そこそこにテレビで見た顔が揃っているテントの中で、僕と観鈴と味噌舐め星人はお弁当を食べた。芸能人が食べる弁当というから、どれだけ豪華な物だろうかと期待したが、普通にその容器にはほか弁の文字がプリントされていた。今の時代、どこもかしこも節約…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その二十五」

観鈴の出演しているドラマの現場は、多くの立ち見客で囲まれていた。大したことはない地方のドラマのはずだったが、どうしたことだろうか。気になって人ごみをかけ分けて前に出てみると、その理由が分かった。一昔前に一世を風靡した人気男優が、そこにはお…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その二十四」

その日、僕と味噌舐め星人は二人で出かけることになった。出不精な僕、同じくらいに引き籠りがちな味噌舐め星人。そんな二人が連れだって出かけることになったのには、もちろん理由があった。観鈴が、俺達の住んでいる街の近くでドラマを撮影することになっ…

今週のお題「お父さん、ありがとう」

お父さん、温泉入るついでに三重の実家から奈良まで送ってくれてありがとう。 おかげで電車賃が実家から乗った時の半額ほど浮きました。 給料日前なので、正直とても助かります。 その調子で、時々下宿先の方まで遊びに来てくれると。 ついでに、溜まってい…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その二十三」

夢を見た。それは、僕と詩瑠と観鈴が出てくる夢だった。それ以外には誰も現れない、誰も邪魔する者の現れない、楽しく心地よい夢だった。 僕と詩瑠は二人でお茶を飲んでいた。本当に、ただのお茶。冷蔵庫に入れてある様な、プラスチックの筒に入っている麦茶…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その二十二」

味噌舐め星人がコロ太を毛嫌いしているのは、もうどうにもなりそうになかった。加えて、コロ太が彼女を許そうとしていないのが輪をかけて、彼女達の不幸な溝を深めていた。まぁ、仕方ないだろう。味噌舐め星人はコロ太に噛まれたトラウマで、まともにコロ太…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その二十一」

脱衣所でコロ太を拭き終えると、僕は先にコロ太を脱衣所の外に出した。彼がリビングへと駆けて行く足音を聞きながら、僕は洗濯機の上蓋の所に置かれている、濡れていないバスタオルを手に取ると体を拭いた。一通り拭き終えると、ジーンズを穿きTシャツに頭…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その二十」

コロ太は観念したのか、僕に抱きかかえられて部屋を出てからは、あまり暴れることはなかった。階段を下りて風呂場に入ると、僕は脱衣室と廊下を隔てている扉を閉め、念のために鍵をかけた。それから、コロ太を脱衣室の床に降ろして、服を脱いだ。脱衣籠には…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その十九」

コロ太を抱きながら僕はサンドウィッチを食べた。物欲しそうな目で、コロ太は僕を見つめてきたが、変な物を食べさせてコロ太に調子を悪くされたら、天国で詩瑠に会わす顔がない。駄目だぞコロ太、お前にはちゃんと朝ドッグフードをあげただろうと、僕は彼の…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その十八」

家に帰ると味噌舐め星人がソファーに寝転がっていびきをかいていた。鼻提灯なんか膨らまして、まったく呑気な事この上ない。この女に、僕の苦悩の半分でも分けてやれたなら。そんなことにもしなったら、更に仲良くなってしまいそうだな。苦労なんて下手にす…

今週のお題「ゲームと私」

アダルトなゲームばっかりやってますね。 最近は大帝国とか雷神7とか。 戦略系は好きです。あれですね、Civilizationとかもよくやります。 あ、アナログゲーもよくやります。 ドミニオン大好きです。つっても、一緒にやる人居ないので、下手ピーですけど。

「僕の甘味の少ない幸せな青春その十七」

男は終始マイペースだった、しかしながら、失敗をすればそれなりに焦っていた。いや、マイペースというのは彼の就業態度を指して適切ではないだろう。彼は怒られれば大いに恐縮し、話しかけられればおおげさに驚き、会計をする時は決して客と目を合わさず、…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その十六」

こんな生活をしていては駄目だ。昼下がり、ご飯を食べ終えた僕は唐突にそんなことを思った。大学にもろくに行かず、アルバイトだってすることもなく、毎日毎日無駄に時間を浪費して。こんな人間が、一人で生きて行けるはずがない。そうだ、自立して生きて行…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その十五」

犬が忠義を忘れないというのに、すっかりと今の温まぬの様な生活に慣れてしまった僕は、ついに味噌舐め星人と一緒の部屋に居ることに、なんの違和感も覚えなくなっていた。一緒にテレビも見るし、一緒にゲームもする。おかしなことがあれば一緒に笑い、腹の…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その十五」

コロ太は相変わらず味噌舐め星人に吼えかかった。観鈴が居る時は、彼女が宥めすかしてなんとか事なきを得たが、居ない時などはそれはもう酷いことになった。どたどたと、家の中を駆けずり回った味噌舐め星人は、最終的には俺の部屋へと逃げ込んでくるのだ。…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その十四」

何だかんだで彼女のペースに流されているという自覚はあった。それを煩わしく思わなくなったという自覚もあった。なぜ、あんなにも嫌っていた彼女を、こうして平然と受け入れられるようになったのか。今になって冷静に考えてみると、俺もまた父や母と同じだ…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その十三」

知らない妹との生活は続いた。彼女は人懐っこくそしてしつこく、僕の事を兄と呼んではなにかにつけてまとわりついてきた。僕はそんな彼女に、決して優しくすることはなく、あくまで他人という線引きをして接した。それは、例えば彼女が味噌汁をこぼして泣い…

今週のお題「雨の日の楽しみ方」

本を読んだり、映画を見たり。 なんてお洒落な事ができたらいいのですが、日がな一日ネットして終わります。 自堕落な生活で申し訳ないです。 晴れていれば旅に出たりするんですけどね。

「僕の甘味の少ない幸せな青春その十二」

リビングに降りたが、そこには観鈴も、詩瑠の偽物の姿もありはしなかった。自分たちの部屋で寝ているのだろうか。それとも二人で何処かに出かけてしまったのか。どっちにしろ、顔を合わすのが気まずい僕にとっては丁度良かった。もう一度彼女たちが居ない事…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その十一」

詩瑠の偽物が部屋から出て行ったのを確認すると、重い体を引きずって俺は布団から這い出した。そして、部屋の扉に鍵をかけると、咽喉の辺りに溜まっていた澱んだ空気を盛大に吐きだした。ついでに体の疲れも一緒に吐きだしてやりたかったが、そんな器用な事…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その十」

また家から飛び出したくなるのを我慢して、僕は彼女たちに背を向けた。お兄ちゃん、と、観鈴が心配そうに僕に声をかけたので、大丈夫だ、別に変な事はしないよと、俺は振り返らずに言った。とりあえず、そうだ、自分の部屋に入って寝なおそう。もう一度寝れ…

「僕の甘味の少ない幸せな青春その九」

「お姉ちゃんはお姉ちゃんなのです。何を言っているのですか?」 本当におかしくなってしまったのか、という顔だ。もっとも、僕もまたそんな顔を彼女に向けているのだ。お互い様という奴かもしれない。 「お姉ちゃんじゃないだろう。お前、俺達の詩瑠がこん…