「味噌舐め星人の挑発」


 味噌舐め星人と生活するにあたって問題があるとするならば、それは俺の部屋に一式しか布団が無かったと言う事だ。加えて俺の借りている部屋は対して広くなかったし、たいして綺麗でもなかった。床にごろんと寝転がれば、ゴキブリと顔をあわせることも少なくなかった。味噌舐め星人は女の子なのでそんな所で寝るのを嫌がったが、俺もそんな所で寝るのは嫌だったので、嫌なら出て行けと一つびしっと言ってやることにした。すると、味噌舐め星人はまた俺の事を人でなしだ冷血星人だと罵ってくれた。俺はもう彼女の暴言には慣れっこだったので、そんなのはスルーすることにして、明日も朝からバイトで忙しいからとっとと布団に入って寝てしまうことにした。
 部屋の電気を消すと味噌舐め星人は怯える羊のような声で怖がった。宇宙はもっと暗いだろうと思ったのだが、味噌舐め星人はそんなことお構い無しに怖がった。あるいは、この子は味噌舐め星人の振りをしたごく普通のそこら辺に居る女の子かもしれないと俺は思ったが、普通の女の子はあんなに美味しそうに味噌を舐めないし、アレだけの量を舐めたらとても地球人では生きていけない気がしたので、やっぱり彼女は味噌舐め星人だと思っておくことにした。けれども、俺がそう思って味噌舐め星人は暗闇を怖がるのを止めてくれないので、おい、いいかげんにしてくれよ、俺は明日も仕事なんだよ早く寝たいんだよと強い口調で言ってやった。言ってやったら、突然味噌舐め星人は俺に抱きついてきて、そのまま俺をベットに押し倒した。
 俺はそのままくんずほぐれつな事になるのかと一瞬期待したのだけれど、味噌舐め星人はただプルプルと震えるだけでそれ以上俺に何もしてこなかった。本当にプルプルと震えて俺にしがみついているだけなので、これは本当に相当な怖がりだなと俺は思って、何も言わずにそのまま二人で布団の中に入った。味噌舐め星人の人肌はそれなりに温かかった。女の子の温かさがどの程度のものかはちょっと分からないが、とりあえず心地いいくらいに温かかった。味噌舐め星人はまたメソメソと涙を流して泣いていて、涙を時々俺の胸で拭った。こうなってしまうと体は正直なもので、色んな物が立ちに立ったのだけれど、味噌舐め星人はそんな俺のことなどお構い無しで、ひとしきり泣くと安心したのか俺の中ですやすやと眠ってしまった。おいおいそれは無いだろう、あんまりだと思った俺は、暫く聞かん棒になってしまった息子の処遇を考えあぐね居ていたが、味噌舐め星人の寝顔をじっと見るにつけて随分と腫れが収まってきて、もうそんな気分でもなくなってしまった。
 俺はちょっとだけ味噌舐め星人から離れると寝返りを打って味噌舐め星人の反対側を向いた。別に俺はフェミニストって訳ではないのだけれど、とにかくそういう気分ではもうなくなっていたから、俺は今日は何もしないことに決めた。決めてさて寝るかと思っていると、味噌舐め星人が布団をグルグルと巻き込んで俺から奪い始めた。せっかく布団に入れたやったというのに、こいつ恩を仇で返す気らしい。無意識とはいえ、流石にこれには頭に着た俺は、腹いせに味噌舐め星人の恥かしい所に手を突っ込んでやった。すると見るからにに味噌舐め星人は感じたのだけれども、愛液があからさまに味噌汁臭く本格的に俺は萎えてしまって、その夜は廊下で雑魚寝することにした。