そう、そういえば書評ね

 ミミズクと夜の王
 えがった、ええ話しやった。と、思う。
 俺はてっきりクロちゃんが夜の王かと思ってたんやけどんねん。うん。
 まぁ、皆幸せになれて実に良かった。こういう、ストーリー回しのテクニックの上手さは素直に尊敬しますです、はい。ほっこり。
 

 信長が宿敵 本願寺顕如
 えがった、ええ話しやった。毎度思うんだけれど、この人の歴史物の中には社会の教科書的なエッセンスではなく、現代人の生き方感(エッセイ)的なものがすっげえ自己主張して入ってるの。極端に言ってしまえば八宝菜作ったら、野菜が異様に生臭いそんな感じ。でもまぁ熊野の親父さんに言わせたら、「素材の味を生かさないかん」って感じなんだと思う。
 そこら辺をもっと評価してくれても良いのになぁと思うとともに、キャラクターのつくりとかが実に昨今流行の永遠の女子高生(腐女子)に受けそうなディテールなので、戦国ブームにあやかって一気にスターダムにのし上がって、ブログとかもなんかこうアメブロ公認、鈴木輝一郎公式サイトみたいなのになれば良いのになぁとか。うん、この先生の作品は絶対女子ウケいいと思うんだけど、どうかな(既に司馬先生とかに進んでると無理かもしれんけれど)。はい歴史小説のなんたるかも知らんのに調子こきました。今まで読んだ歴史小説は、南原先生と池波先生と遠藤先生くらいです、サーセン
 少なくとも孫一が教如殴るシーンは鼻血ものですよ、彼女達には。いや、わしちんこ生えてるから知らんけど。


 塩狩峠
 えがった、ええ話しやった。もうほんと最後は、なんで永野さん死んでまうん、って感じ。
 死なずにふじ子ちゃんとキャッキャウフフで幸せになれば良かったのに、悲しすぎるよもう……。いやまぁだれかがあぁでもしないといけなかったのかもしれんけどさぁ。
 最後ああやって死ぬのが永野さんの本望だったのだろうか。いや、きっとそんなことは無いんだろうけれども、それでもやらずには居られなかったというのがこの悲しさの本質、というかキリスト教の教義の本質みたいなものなのかもしれない。いや、私の家は浄土真宗なのでよくわかんないんですけどNE!!
 ふじ子さんとのやり取りであるだとか、同僚のなんだったかの悪態だとか、実に描かれている人間達が自然なんですよね。後は主人公の成長のさせ方が凄く上手い気がします。こう聖人君子てきなキャラクターに対して、どうにも人間というのはアレルギー的な反射が起こすものなのだと私は思っているのですが。これはどじょうと豆腐を水からぬるぬると熱していく感じで、主人公が聖人君子へと変貌していく様を書いてあるため、それほど抵抗無くするっと受け入れられましたね、少なくとも私は。それでもってそういう仮定があるおかげで、同僚のなんだったかが主人公に嘘くせえと突っかかる心理というものも非常に共感できるものでしたし、凄いなよくここまで自然に話を上手く運んだものだなぁと、関心仕切りでした。いやはや小説書くならこういうのを見習わなくっちゃなぁと思いましたね、少なくとも私は。


 コインロッカー・ベイビーズ
 すみませんでした。なんかね、朝方にやってる日本の百冊私の一冊っちゅう番組で紹介された時は。うはっ、厨二病乙的な反応をしていたんですよ。コインロッカーから生まれたくらいでなんだって。そしたら本当にコインロッカーから生まれたから何だって感じで、同じなんですよ私達とこれって、逆の意味で。
 その程度たいしたこと無いって言うんじゃなくて、圧倒的な共感がこの作品の中には描かれているんです。もちろん主人公が遭遇する出来事は過激なもので、自分達がまず経験し得ないことだろうけれども、本質的なところではこの閉塞した社会に対する若者の反抗するエナルギーを捉えて共感を呼び起こしているんだと。いや、最後まで読んでないからわからんけれども。
 惜しむらくは、凄く読み辛れえってことです。けど、凄い、これは。15から25でもやもやとこの世界に対して憤りを鬱積している人たちに読んで貰っておきたい一冊なんじゃないかなぁと。30や40になって、ナニコレ厨二病乙では余りに悲しすぎる。と、思いまんた。


 以上。キチガイ書評のコーナーでした。また来月。