2010-04-07から1日間の記事一覧

「砂糖女史の執心」

再び目覚めると、部屋の中はもう薄ら暗くなっていた。夕日がカーテンの隙間から侵略し、部屋に一筋の赤い線を描き、冬の夜の静けさの兆候とも言うべき、なんとも抗いがたい気だるさが部屋には満ちていた。どんなに健全な人間でも、ふと辺りの静けさに憂鬱に…

応募原稿『タイトル未定』21,22,23,24,25ページ

ニィ、ニィと、何物かがちゃぶ台の下で鳴いた。靴下の裏をくすぐる感触に再びちゃぶ台の下を覗くと、白黒のぶちねこが僕の靴下を舐めている。ダメダメ、そんな所を舐めたら汚いよととっさに小さな彼を抱き上げると、僕は膝の上にそっとおろした。心地よいふ…