「味噌舐め星人との条項」


 張り詰めて敏感になった俺の分身が、味噌舐め星人のやわらかい肌に触れた。布団に隠されて見えないが、そのかわいらしい尻の辺りだろう。味噌舐め星人が、んっと、何か恥ずかしいものでもこらえる様に唸った。やがて、彼女の黒いショーツと彼女の肌の境目を、俺の先端が擦りあげる。明らかに異質な触り心地に、俺の胸が高鳴り、男の硬度も増す。いや、と哀願する味噌舐め星人の言葉が聞こえていなかったら、欲望に任せてどうなっていたか分かったものではない。いや、おそらく、俺は情欲の波に任せて、彼女のその布で覆われた大切な箇所への侵入を行っていただろう。ふと、俺の口内が塩っ辛くなる。それは味噌舐め星人の頬を伝って俺の口へと入り込んできた涙だった。彼女は泣いていた。今の状況を望んではいなかった。俺を拒絶していた。味噌舐め星人は、その身に起こった汚辱を耐えていたのだ、そう、まるで最初に彼女と俺が出会ったときのように。おびえて、涙を流して。
 少しだけ取り戻した理性を振り絞り、俺は醜く肥大した己の分身をショーツ越しに味噌舐め星人に押し当てた。そして、綿で出来ているショーツと、柔らかい彼女の太ももで出来た穴の中に、ゆっくりと抽送を開始した。やはり彼女のその悲痛な表情を見ても、俺の高ぶった精神は止まらなかったし、止めれなかった。ゆっくりと、セーブしてやるくらいのことしか出来そうにもない。はたしてセーブすることが、彼女になんの慰めになるのかも分からない。彼女に挿入しないことがこの場面で正しい選択なのかも分からない。それでも、俺は味噌舐め星人の事を思って、布越しに彼女の秘所に擦りつけるだけにとどめた。抱きしめ、頬に舌を這わせ、指で体を愛撫し、そして彼女の暖かくすべすべとした肌の中で、俺は溜まっていた欲望を吐き出した。
 事が終わると俺も味噌舐め星人も肩で息をしていた。味噌舐め星人は相変わらず、ぐすぐすと鼻をすすり上げては泣いていた。こちらを睨み付けないことで、こんなことをした俺を暗に非難していた。しかし、抽送を繰り返すうちに彼女の口から吐息に混じって、甘い声が何度か漏れたのを、俺は聞き逃さなかった。味噌舐め星人は嫌がりながらも確かに俺との行為に感じていた。少なくとも彼女の体は俺との関係を拒んではいなかった。だからといって、それを彼女に指摘することでどうなるというわけでもない。まして表面上、彼女はこの行為に対して嫌悪感を露にしているのだ。そんなことを言っても彼女の自尊心を傷つけるだけだ。あるいは、純粋な彼女はこの行為自体の意味を知らないということも考えられる。結局、確かにいえる事はたった一つ。俺が彼女の繊細な心を欲望のままに弄んでしまったという事だけだ。
 お兄さん、もう大丈夫ですか、もう怖くないですか、いつものお兄さんですか。相変わらず彼女の体にしがみつき、余韻に浸るように身を重ねていた俺に、味噌舐め星人が恐る恐る尋ねた。あぁ、もう大丈夫だと、彼女を強く抱きしめる。ごめんよ、と謝りたかったが言葉が出なかった。謝るにしては自分のやったことはあまりに勝手すぎるし重すぎた。お兄さん、なんであんなことするんですか、なんであんな気持ちの悪いことしたんですか。声を震わせ怯えた感じに尋ねてきた味噌舐め星人に、俺は何も言葉を返せなかった。