「味噌舐め星人の転寝」


 味噌おにぎりを食べ終えた味噌舐め星人は満足した様子ですぐに布団に寝転がった。俺の布団に寝転がった。今朝方彼女が汚してしまった布団に寝転がった。俺は今日こそは味噌舐め星人から布団を奪還して寝たかったのだが、どうにも今夜も彼女に布団を取られてしまうのは間違い無さそうだ。仕方ないので、俺は何か寝るのに使えそうなものはないかと箪笥の中を漁っていると、いつ買ったのか思い出せない座布団が三枚ほど見つかったのでそれを引いて敷布団の代わりにした。座布団はこの上なくかび臭かった。
 味噌舐め星人は眠たそうな様子ではなかった。彼女は布団の上でごろごろと猫の様に転がっては、干した布団特有の匂いを堪能しているようだった。味噌舐め星人でも、お日様の香りと言う奴は嫌いじゃないらしい。もっとも、お日様の匂いの正体は、人間の汗や垢・埃等が紫外線により滅菌されて発されているのだが。まぁ、そんな夢の無い事を言うのはやめよう、浪漫がない。
 布団と戯れる味噌舐め星人は可憐だった。素直に俺は味噌舐め星人を可愛らしいなと思った。あまりに彼女が愛らしいので、俺はいつしか彼女の事をガン見していたらしく、俺の視線に気付いた味噌舐め星人が恥かしそうに何を見てるんですかとエッチと俺の事を行った。別にエッチな視線で見ていたわけではないのだが、なんだかそういわれると何かアクションをしなくちゃいけない気がして、俺は味噌舐め星人に襲い掛かった。ぐへへへ、ねーちゃん良い体しとるやんけー、と。我ながら月並みな言葉過ぎてどうもなと思ったが、味噌舐め星人はノリをあわせてキャーとかやーとか楽しそうに叫んでくれた。味噌舐め星人の体に俺は触れた。味噌舐め星人の体はやっぱり華奢な女の子と変わらなかった。砂糖菓子の様に柔らかくてちょっと力を込めると壊れてしまいそうな感じだったが、ぬいぐるみのような柔らかさがあるようにも思えた。とにかくそんなわけで、味噌舐め星人に抱きついた俺は、暫くきゃっきゃうふふと味噌舐め星人と布団の上で転がり転がり戯れていた。
 味噌舐め星人と俺は、やがて疲れ果てて布団の上で転がるのを止めた。はぁはぁと味噌舐め星人が少し荒い息を吐いていて、俺は思わず胸が高鳴ってしまった。けれども、味噌舐め星人はやっぱり無邪気で、すぐに俺の方を振り向いてくししと満足そうな笑みを見せるのだった。味噌舐め星人は昼前に家を出たときの格好だった。ジーンズで寝るのは流石に寝辛い。俺はユニクロの帰りに寄ったスーパーの二階で、味噌舐め星人のためにパジャマを買ってやった。俺が寄ったユニクロにはパジャマは置いてなかったのだ。味噌舐め星人が選んだパジャマは、味噌色をした熊さんフードのパジャマだった。やっぱり味噌色だった。本当の事を言うとそのパジャマは子供用のパジャマだったが、子供並みの胸をしているせいかなんとか味噌舐め星人はそれを着る事ができて、着れるとわかると味噌舐め星人は俺がもっと大人っぽいのにしろよと言っても聞く耳持たずで、それを欲しい欲しいと俺にねだったのだ。
 外に出て味噌舐め星人が着替えるのを俺は五分待った。五分待っても返事がないので部屋に入ると、熊さんになった味噌舐め星人がすやすやと寝息を立てていた。短い丈からはみ出たパンティは、味噌色のよく映える黒だった。