感想 「ウィワクシアの読書感想文」


 いや、お前ウィワクシアじゃないんじゃないの。いろんな人傷つけてるじゃん、それ。


 文学って物が人間に何かしらを伝えるものだと仮定したら、何かを救うものだと仮定したら、何かを許容させるものだと仮定したら、人生をかけることだとしたら、人生だとしたら、ってな所かな。つまるところ、主人公の今までの生命活動は全て文学的行為、すなわち自分という存在を通して誰かに何かを共感させ感動させる行為だったわけだ。けど、その行為自体が非情に歪んでいて、この社会と言うか世界からは到底許容できるものではなかったと。心臓の小説って言うのは、主人公の目を通してそれを可視化したもので、少女の死はまたそれとは別の文学なのだろうか。まぁいい、とどのつまりは自我の叫び、自己正当の叫びという奴なのかもしれない。
 僕はどちらかと言うと感情的にこういう支離滅裂で馬鹿な文章書くタイプの人間で、なおかつこの作中のキャラみたいにゆがみに歪んでるし自分の中にどうしようもない感情がうずまいて制御不能になりそうなそういう気持ちもわかるけれども、それでもやっぱりこのキャラクターは色んな意味でせこいとおもう。反省してないと思う。俺がそうだし。自分が悪いですね、そうなんですねってそういうことをずっと言い続けるタイプの人間手言うのは、周りに同情フェロモンを振りまくどうしようもない生命体で、そこに作者が気づいて意図的にやってるのかもしれないけど、こういうキャラクターは卑怯だと思う。卑怯なキャラクターだと思う。


 まぁ、それは別として、この主人公の考え方には私は同意ですが、何か文句はあるでしょうか。世の中の何者にも必要とされずに死んでいく人間が、自らを指して文学と言う弱さに、私は素直に同情する。同情しなくちゃやっとれん、これは、私だ。私自身だ。私自身がなりうるかもしれない狂気の境地だ。
 しかもこれは文章書きの苦悩のメタって言うか比喩なんじゃないの。うまくは説明できないのだけれど、その文章がかけなくなるって言うプロセスが特にそう思える。俺なんかは、逆に世界はまったく充実なんかしなかったけれど、文章書くのがくそ面倒くさくなって、ここ半年くらいまったく新しい小説に手をつけれずに、今書いてるのだけでもって二ヶ月くらい前に書き上げたのを最後にぱったりなんだけど、ここ。なんか何をかいても虚無感みたいなものを感じるようになって、あぁ、俺は一体何を書きたいんだろうなーってそういう感じになってる。
 で、それをこの主人公な方法で満たせるかって言うと、まずそんなことはないんだけれども、似たようなことは考えるもので。時々自分の中にあるとんでもない暴力性や妄想にうわぁってなっちゃうときがある。それはまぁ頭の中で、自分に向けられたりだとか、身内の誰かに向けられたりして、非情にもんもんもんなんだけれども。うーん、どういったら良いのか、そこから脱出するのに最近糸口として自分がこれかなって目をつけてるのが、自分の中にある根本的な感情だとか経験だとかの部分なんですよ。つまりは、心臓の小説みたいな、あぁ俺はこういうことを伝えたくてこいつを書いたんだなーみたいなそういう小説を目指すことで解消されるのかなぁと。
 でだ、心臓の小説と、少女の死と、ウィワクシアの行為は全ては小説の亜種であり淘汰される物だったと。少女の死は確実にウィワクシアをすくうだけの文学だったわけだし、心臓の小説もまた文学だったわけだ。これが何をいみしとるんかなーということを考えると、馬鹿なのでわからんのだけれども、なんだろ。うーん、まぁある意味で表現方法への開き直りみたいなものと自分への自信の開花みたいなものだよね。俺はまぁそこまでいけなくてはないんだけど、まぁたしかに作者のいわんとせんことは理解できて、極論のところ人間の確立って言うのは自我の目覚めとなんちゃらとか難しいこと言ってるけど、割と単純で。「人をピーしても平気でだから何って言えちゃう」ようになることなんだよね。直接的にピーすること事態は法律で禁止されてるけど、けど人間なんて間接的に大量の弱者をピーして生きてるわけじゃない。そういう部分を素直に受け止めて、自分の行き方をおくびともせずに誇れること。ようは戦っていけることがつまりは生きることなんだと。そういうことは俺も思ってるわけですよ。いや、非情に危険な思想であるとは思うのですけれどね。けど、生きなくちゃいけない、生きるなといわれても俺は生きなくちゃいけないんだ。


 とまぁ、こんな感じの考察ですけれどあってるのかな? しっかしまぁ、よくもこんなの書いたな、この作者。やっぱり頭がアレだってのは本当だったんだ……。つうかこの話は世間でちゃんと評価されたのかな。評価された馬鹿馬鹿しい、まんまと作者の思惑にはまってほんと世間って馬鹿で終わるけど、低いなら同情するぜ。いや、俺は好きですよこういう思春期のお子様っぽいお話、俺は大好きよ、鏡家サーガより好きかもしれんよ、これ。


 以上。秋水君には良い物を貸していただいた、大収穫。