けど明日書く


 酷いよ書く書く言っといて書かないなんてそんなのないや。書く書く詐欺じゃないか、小説を書く書く詐欺じゃないか、馬鹿にしてるの。
 いいじゃないか、だれも見ていないんだし、だれも読んで喜ばないんだし、そんなもの書いても書かなくても一緒だよ。
 そういう事じゃないんだよ。そういう事を言っているんじゃないんだ。君は、僕に恥かしくないのかい、自分に恥かしくないのかい。一度僕が決めた事を勝手に反故にして、それで恥かしいと思うような心もどこかに置いてきてしまったのかい。
 忘れてなんかいないさ、その事だって覚えているさ、覚えているけど覚えていない振りをしているだけさ。ようやく振りができるようになったのさ、退化したんじゃない俺は進化しているよ。衰えたんじゃない、今も俺は成長しているよ。もう俺は僕の様に未熟なんかじゃないって事さ。
 またそんな風に僕の事を侮辱する。未熟のどこが悪いんだ、未完成の何が悪いっていうんだ。
 何も悪くないよ。けれど、未熟なものは要らないよ、それだけさ。未熟なものにかまっている暇なんてないんだ。未熟な中で一番成長しそうなのだけを残して、僕たちは大人にならなくちゃいけない。
 プログラム。プログラムがそれなのかい? 僕は違うように思うよ、全然君はできて無いように思うよ。だってそうでしょう、プログラミングコンテストで惨敗したのを君は忘れちゃったの。
 俺は確かにプログラミングコンテストで惨敗したよ。惨敗したけど、あのプログラムにはちょっとは満足しているんだ。C++DirectXでステレオ視のシステムを組むなんてのは、大学一年生で中々できることじゃなかったなって思ってる。DirectXで音声通信、Windowsのシステムをかまさなくちゃいけないけれども、ミキシングをしちゃうシステムを作ったのもイカシテルと思うさ。けれど、過程は最悪だったね。友達を泣かすなんてのは屑がすることさ。
 友達なんて泣かせろよ。ついてこれないなら、その程度の奴さ。
 馬鹿だな。お前だってついていけなかっただろう。馴れ合うのが気持ち悪いなんていうのは厨二病患者の言う事だぜ。いつだって人類は馴れ合って生き延びてきたんだ。なれろよ、もうそろそろ。
 うるさいうるさいうるさい。お前なんか僕じゃない、お前みたいなやつ僕じゃない。俺は僕じゃない。
 俺は僕だよ。俺は僕さ。代わらない、どこまで行っても代わらないよ。
 嘘だ、夢を見る事を忘れたくせに。夢を追う事を諦めたくせに。お前みたいな奴は、僕なんかじゃない。打算して、媚びへつらって、バイトして、ゲームを作らない、小説を書かない、本当にやりたい事をしない。お前みたいな奴、僕なんかじゃない。
 そりゃね、お前言わせてもらうけどね。もう僕は子供じゃないんだよ。子供はね、親が居るからいくらだって夢が見れるけどね、大人はね自分で夢を見れるようにするしかないんだよ。夢をみたいなら、夢を見続けたいなら、僕はね俺にならなくちゃいけないんだ。大人をやってやるしかないんだよ。夢を見たいから、俺は大人になったのさ。俺はまだ夢を見たい、何も君と代わっちゃいないさ、夢の見方が変わっただけでね。
 僕はもう沈黙して何も言わなくなったが、彼が確実に俺の中に存在しているのを私は知っている。