今日は呑み会だったので休みます。


 文句があるなら金を払え。


 ただで俺の小説が読めると思うなボケ共が。


 いや、本当に払わんでもええけど、もうこれくらいの我儘くらい許してください。


 これからはもう、適当にやります。


 明日の朝に復活してたら、書いてみます。

「味噌舐め星人の欠落」


 何をしているの、と、後ろから声がした。暗いリビングを振り返れば、ソファーで寝ていたのか味噌舐め星人がそこには立っていた。何をって、味噌を舐めているんだ、見れば分かるだろう。裸で味噌なんて食べる者かしら、と、味噌舐め星人は怪訝な顔をしていった。お前にそんなことは言われたくはない。それはもう、味噌の事となったら眼の色を変える癖に。
 お前も舐めるか、と、俺は彼女に味噌を差し出した。俺の恰好もあるだろう、彼女は少し近づくのを躊躇って、それでもやはり味噌の魅力には抗い難かったのか、俺の方へと近づいてきた。恐る恐る味噌を受け取った彼女に、俺は指で掬ってそれを舐めるように指示してみせる。彼女はその小さく、きめの細かい指で汚らしく味噌を掬うと、それをなんとも愛おしげに口に含んだ。途端、彼女の頬が紅潮して、眉の間に皺が寄り、幸福感が顔を覆う。
 どんなに頭で否定しても、味噌舐め星人の性には逆らえない。雅が俺を求めるように、俺が雅に暴力を振るったように、その者の本質に染みついて、否定することができない何か。そう、業なのだ、それは味噌舐め星人の。
 綺麗に舐めきった指をもう一度味噌パックに突き刺して、味噌舐め星人は味噌を掬いあげる。そんな彼女に後始末は任せることにして、俺はリビングを出ようとした。が、いざ廊下へ出る扉に手をかけた時、背後から手を取られてしまった。なんだ、どうした、と振り返れば、涙を浮かべた味噌舐め星人が、命よりも大切な味噌を床に放り出して肩を震わせ、膝をついていた。
「ねぇ、いったい私は何者なの。味噌を舐めなくちゃいけないってことは分かっているの。それが習性だってことも。けど、どうしてこう自分を抑えられないくらいに味噌を欲してしまうのかが分からない。こんなの、普通の人間ならあり得ない話だわ。我慢できるものじゃない、いえ、そもそも味噌なんて食べるようなものではないわ。無意識になんでもかんでも味噌味にしようとするだなんて。まるで自分が分からない、怖い、怖いわ」
 ねぇ、なんなの味噌舐め星人って、貴方は、それについて何か知っているんでしょう。自分が何者なのか、知っているのでしょう。味噌舐め星人は、歎願するように俺にその視線を向ける。少女の涙の価値は重い。
 俺は味噌舐め星人の瞼を優しく撫でて、彼女の涙を拭う。そして、何から話すべきなのかな、と、とつとつと味噌舐め星人について彼女に語った。
 あらかた俺が味噌舐め星人について語り終えると、味噌舐め星人打って変わって静かになった。自分の身に起きている異常事態を改めて他者の俺から突きつけられて、理解するのに時間がかかっているのだろう。
 体が知っているのと、知識として知っているのではまた意味合いが違ってくる。何も知らずに人間が息を吸うように、味噌舐め星人は味噌を舐める。
「つまり、私は、その、味噌舐め星人という奴になってしまったのね」
「お前が成った訳じゃない。味噌舐め星人がお前になったんだ。今のお前は列車事故で死んでしまった女の子の意識を持つ、ただの宇宙人だ」
 宇宙人にただも普通もないだろうがな。そんなことを思いながら、俺は今度こそ味噌舐め星人を置いて、二階へと上がった。