2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「店長の父、息子の部下に野菜を振る舞う」

薄い灰色の作業着に軍手姿の店長の父は、ずかずかと俺と店長が座るテーブルを横を通り過ぎると、今朝の朝刊を手に取った。そして、中から黄色いわら半紙でできたスーパーのチラシを、二枚ほど手際よく引き抜くと、大根をそれでくるんだ。これ、うちで取れた…

「店長の母、息子の部下に料理を振る舞う」

結局、俺は店長の話に無理やり付き合わされ、やっと静かに布団の中で息ができるようになったのは、朝刊を配る新聞配達員のバイクの音が聞こえた後だった。たぶん、時間にすれば三時ごろだったと思う。散々人に喋るだけ喋っておいて、とっとと寝てしまった店…

今週のお題とりあえず、紅茶をあげておいた。

そういえば、母の誕生日を就職活動で華麗にスルーしていた事に、二ヶ月立ってから気づいた私。 これは母の日には何か送らないとと、Amazonの母の日特集を見つつちょくちょく品定め。 母が紅茶が好きなので、ちょっとグレード高い奴でも頼もうかと思ってたら…

「店長、月に真面目に働くことを誓う」

決めたよ、僕、これからは真面目に働く。苦手なレジ打ちもするし、おでんの具の補充もする、フランクフルトも焼くし肉まんだって作るよ、もちろん今まで以上にカップラーメンの陳列だって頑張る。そう言うと店長は、プラスチックの細かい粒が入った枕を、五…

「醤油呑み星人の大挙」

醤油呑み星人は店長から舟を受け取ると、まざまざとそれを見つめた。わさびがちっとも入ってないわね、綺麗な食べ方だわ。褒めているのか、それとも何か新しい皮肉なのか、たぶん前者なのだろうが、醤油呑み星人はそんな事を店長に言った。すると店長は静か…

「醤油呑み星人の欲求」

店長は落胆の表情を隠しもせず舟に口をつけると、溜まり醤油を啜った。本当だ、美味しいね、これと、笑って言う彼の顔はあきらかに引きつっていて、俺はこの哀れな恋の道化に道場を禁じられず、思わず顔を背けた。背けた拍子に、醤油呑み星人の嗜虐的な感情…

「店長、それとなくアプローチをかけて、それとなくかわされる」

とくにこれといった理由もなく、俺は店長の隣に座り、醤油呑み星人は俺の隣に座った。俺が店長と醤油呑み星人を隔てる形になったわけだが、店長は特に何も言わなかった。あるいは、醤油呑み星人が席を立った拍子に、なにか五月蝿く小言でもほざいてくれるか…

「店長、部下に気前よく食事を奢る」

なんだ、板前さん、普通に料理を作ってやがるぞ。これはいったいどういうことだ。もしかして、俺はまだ旅館の布団の中でぐっすりと眠っているんじゃないのか。頬を抓ると生々しい痛みが頬に走った。どうやら、夢ではないらしい。しかし、夢でないとは分かっ…

「醤油呑み星人の嬉遊」

醤油呑み星人が倉庫で着替えている内に俺は店長に携帯電話で連絡を入れた。なんとか彼女を食事に誘うことに成功したというと、もう先に飲み始めていたのか、でかした、と、携帯越しでも周りに聞こえそうな大声を彼はあげた。それじゃぁ、そういう事なんで、…

今週のお題どちらが好きということもないけど、落ち着くのは田舎

都会行って色々見たり、遊んだりするのは好き。 けど、ずっといるのは正直しんどい。っていうのを、就職活動で東京に一週間滞在して思い知った。 別に都会は騒がしいとか、空気が汚いとかそういうことは意識してないんだけど。 生まれて、長いこと育った所だ…

「醤油呑み星人の栄耀」

俺じゃなくって店長の奢りってのじゃ駄目か。今日、あの人に夕食を奢ってもらう予定だったんだが。何も言わずに居酒屋に連れていき、偶然を装って店長のテーブルで合流するのも手かと思った。しかし、酒の入った店長のことだ、偶然出会ったという方向で話を…